お江戸日本橋から京三条大橋まで約500km。その間に53の宿場があり、江戸時代の人々は、各宿場で休みながら何日もかけて長い旅をしました。
歌川広重の代表作である《東海道五拾三次之内(保(ほ)永堂版(えいどうばん)東海道)》は、その道のりをたどった55枚の大判錦絵シリーズです。それぞれの地域の風景や名物とともに、雨の日や雪の日の様子、大名行列や留女(とめおんな)など旅の途中で出会う人々などさまざまな場面、事柄が描かれており、人々の東海道の旅へのあこがれを掻き立てました。このヒットにより、名所絵の名手としての地位を不動のものとした広重は、生涯で20種以上の東海道物を製作しています。
本展では保永堂版《東海道五拾三次之内》とともに広重の街道絵を前期、後期に分けて展示し、当時の旅の魅力に迫ります。広重の浮世絵で、どうぞ皆さんも東海道の旅をお楽しみください。